【考察】ドイツ銀行の危機
ドイツ銀行がきな臭いですね。(株価は長い期間下がり続けていますが・・・。)
MBSの不正売買で米司法省から巨額の制裁金が課されていることや、そもそも本業の収益がだだ下がりしていることが主因ですが、以下の理由からネットで騒がれているようなリーマンショック級のクライシスにはならないと考えています。
①制裁金の減額
140億ドルから54億ドルへと減額されて米司法省と協議が進んでいるとのこと。やはり最初はふっかけられたのでしょう。他の欧米金融機関と比較して突出していましたし。
制裁金関係で60億ドルを既に引き当てているので財務に与える影響は限定的でしょう。
ネット上ではデリバティブエクスポージャーを数十兆ドル保有してドイツのGDPよりも多い!やばい!なんて騒がれていましたが、通常は担保を差し入れいますし、当然逆の取引もしているのでグロスで見たってしょうがないです。Netで見たら騒ぐほど突出していないはずです。
③収益力の低下
ここ最近の同行の純損益の推移を見てみますと
15Q2/15Q3/15Q4/16Q1/16Q2
8.2/▲60/▲26/2.3/0.2(億ユーロ)
徐々に減少していますね。リストラに次ぐリストラで稼ぐ力失っている感じです。
同行を見ていくと、確かに大なり小なりと問題を抱えていますが、最終的には「収益力の低下」が株価やCDSの低下原因ではないでしょうか。何か爆弾がある日突然爆発するようなことはないでしょう。特にCDSは株価と相関が強いですし、ヘッドラインで大きく動く代物です。
メルケルが「救済はしない。」との発言も、リーマンショックのような流動性危機でどうしようもないような状況ではなく、あくまで一銀行の経営力の問題と考えているからではないでしょうか。とは言いつつ、リーマンショック時でも公的救済されずに単独で切り抜けた同行が8年経って危機に瀕する一方で、救済を受けた米金融機関が安定化してるのはなんとも歯がゆい感じですが・・・。
また、ドイツも選挙が近いですしあまり金融機関フレンドリーな発言をすると影響が大きいからでしょうし・・・。いざとなったら救済せざる得ません。
私の考えでは、同行は潰れない。
今の株価は収益性の低下に伴うもので、それにかけたファストマネーが売っていると思います。